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[食 Vol.80] 宇佐市 伝承料理研究家
 生活工房とうがらし
  主宰 金丸 佐佑子  / お接待文化と「めがね菓子」」

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宇佐市 伝承料理研究家
 生活工房とうがらし
  主宰 金丸 佐佑子 

お接待文化と「めがね菓子」

Vol.80
 4月21日は何の日でしょうか?ご存知でしょうか。

 最近は「○○記念日」とか「△△の日」とか、記念日が目白押しです。更にカタカタ文字の記念日も加わりました。バレンタインデーやハロウィーン等々。国家的行事から地域の夏祭り秋祭りを主催する神社仏閣も沢山あります。また、家庭でも結婚記念日、誕生日、法事、命日など毎日がなんらかの記念日です。盛んになる行事、記念日もあれば、さびしくなるものもあります。さしづめ4月21日は後者になりつつありそう。

 4月21日(旧暦の3月21日)は「弘法大師の縁日」=「お接待の日」です。弘法大師の威徳を偲んで皆さんで集まりご馳走をいただきます。塩むすび、ちらしずし、巻き寿司、混ぜ御飯、煮染め、漬物、まんじゅう、煮豆等、地域や座元によって違います。今の時代ではご馳走のうちに入らないでしょうね。
 座元は有志であったり、親戚の長であったり、家族でするところもあったりでいろいろです。仲間内で食べるだけでなく、通りすがりの人にも声をかけます。かけられた人はお賽銭をあげ一緒にいただくのです。
 私が中学生の頃、母に「なんで通りすがりの人にも声をかけるの、特別なご馳走でもないのに、きっと迷惑と思うよ」と、いいましたら母の答えは「弘法様のお陰で元気に暮らせる。その幸せをお裾分けしているの」でした。
 高校生の時のことです。下校時、学校近くのお接待所に寄り、塩むすびと煮染めをいただきました。「学校で勉強に頑張ったんじゃね」と、いって余分にいただいたのを覚えています。本当に美味しかった、60年を経た今でもこの時期になると懐かしく思い出します。

 最近はお接待所に赤いのぼりが上がり、ご馳走もポリ袋に入った駄菓子が中心になりました。この日ばかりは少子高齢化なんてウソでしょうというくらい子供達が走り回ります。自宅には沢山のケーキやクッキーがあるでしょうに。それはきっと座元さんの「○○さんちの孫やな」とか「去年よりも大きくなったな」「元気がいい」とかその声を聞きたくて集まるのだと思います。私も60年前の美味しさ以上にあの時のエールを嬉しく思いだしているのかもしれません。

 本題に戻ります。駄菓子の入ったポリ袋に必ず入っているのが「めがね菓子」です。眼鏡の大きさの和製クッキーで、赤や緑の色がついています。丸いのは弘法大師の錫杖の輪っかを表し、赤や緑の模様の色は仏閣の幕に由来している由。足元のお菓子にこんな素敵なエピソードがあるのです。

 2020年の東京オリンピックが決まった時「おもてなし」という言葉がブームになりました。「おもてなし」=「お接待」です。幸せなことに私は「お接待」文化の中で育ちました。現在は大分県北が中心ですが大分県人は「お接待」の文化の中で暮らしているはずです。改めて「おもてなし」とはいいませんが、是非大分にお越し下さいませ。大分が無理なら銀座の坐来大分まで特別ではないけれども「お接待」を味わうことが出来ると思うのです。
 お待ち致しております。

生活工房とうがらし 金丸 佐佑子(平成29年3月)

金丸先生(前列左から3番目)とフードプロデューサー神谷貞恵さん(前列左から2番目)と坐来スタッフ

お接待を行う家に、目印の赤いのぼりが上がります

座元の各家庭で、弘法大師(空海)の像をまつります

昔ながらの「めがね菓子」や駄菓子を袋に詰めて、子供達に配ります

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