大分県を代表する高級魚の1つ、“城下かれい”。
別府湾を臨む暘谷城(ようこくじょう)のお膝元の海岸は、海中から湧き出る清水と海水とが混じる汽水域となっているため、そこで成長する城下かれいは泥臭さがなく、淡白ながら上品な味が自慢です。その希少さから庶民は食べることを禁じられ、将軍家への献上品とされたことから「殿様魚」として珍重されました。
その“城下かれい”の産地として知られる日出町には、樹齢400年を超えるヤマザクラの巨木があります。例年、ソメイヨシノよりも10日から2週間程度早く咲き、かつては別府湾の漁師達が咲き具合を見て漁の目安としたことから「魚見桜(うおみざくら)」の名がついたと言われています。4〜5月にかけて旬を迎える「殿様魚」を捕る時にも、漁師達はこの桜を見上げたのかもしれません。
長い年月により年を負った枝は支柱に支えられ、更には平成3年に猛威を振るった台風19号の被害により、大きく枝分かれをした片方は折れてしまったものの、接ぎ穂をした2世桜が見事に育っています。
また、桜の周りには色鮮やかな菜の花が咲き誇り、その未だ衰えない存在感に文字通り花を添えると共に、毎年変わることなく訪れる暖かな春を告げています。
○問い合わせ先
日出町観光協会/0977-72-4255
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魚見桜と菜の花
支柱が巨木と歳月を支える
暘谷城趾から臨む別府湾
透き通る身が美しい城下かれい
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