今回の「職」では、大分県速見郡日出町で、夫婦二人三脚で「別府つげ細工」の工房を開いている安藤光平(あんどうこうへい)さんを紹介します。別府つげ細工は、大分県別府市で生まれた大分県の代表的な伝統工芸です。
安藤さんは、別府つげ細工を最初に始めたとされる安藤一平さんの孫であり、その素晴らしさを幼い頃から体感しています。そんな安藤さんの商品は、細かい彫刻技術を巧みにほどこした”帯留め”や”かんざし””ブローチ”そして、シンプルなデザインの”ぐい飲み”や”大皿”まで多種多用なものが揃っています。それは、これまで培ってきた独自の感性と、唐木家具やつげクラフトに取り組んできた技術が、安藤さんの手仕事の精度を高め、新たな別府つげ細工の可能性を生み出しているのです。
かつて、つげクラフトを主に営んでいた頃には、クリスタルガラスの有名メーカー・サンルイ(エルメスの子会社)から安藤さんのデザインが認められ、ペーパーナイフのデザイン契約を交わしたこともあります。
現在は「有限会社開工房(かいこうぼう)」を設立し、別府つげ細工の伝統技術を守りながら「丁寧なものづくり」をテーマに、木の特長を最大限に引き出したデザインを練り、塗装までの全工程を一人で担い、主に一点物の商品を手掛けています。
「デザイン画は何千枚もありますよ。でも、むやみにデザインをするのではなく、その素材のよさを生かせるデザインであり、今の時代に求められているものであることが大切だと思っています。自己表現も必要ですが、自己満足には陥りたくありません。とはいえ、未だに日々失敗の連続です。人から見れば分からないが、ほんの微妙な自分の心の揺れがデザインや刃物のさえ、タッチに影響を及ぼします。そんな時は、趣味の山登りや渓流釣りが一番です。」安藤さんは、笑って話してくれました。
商品を作るまでが安藤さん。そして、営業や販売は、妻幸子さんが担当するという夫婦分業をとっています。職人としての安藤さんを一番身近で見守り、女性の視点を大切にして、その商品の想いを伝えています。主に全国の百貨店で展示会や、年に数回開催される工房での展覧会で、多くの方々を魅了しています。
お二人は言います。「開工房は夫婦で開く工房です。私達夫婦の今後の挑戦は、別府つげ細工の伝統技術をつげの木だけに限らず、いろんなものとコラボして世界へ発信していきたい。商品を手にとってくれた人の心を開く、いい驚きを与えるものを作っていきたい。人生一度っきりですからね。」
今後、どういった道を開かれるのか魅力いっぱいの別府つげ細工と安藤さんご夫婦です。
○お問い合わせ先
(有)開工房
代表:安藤 光平
住所:〒879−1504
大分県速見郡日出町大神6174−10
電話:0977−77−1980
FAX:0977−77−1980
|
作品名「秋の彩り」(ペンダント)
作品名「桜」(帯留)
作品名「すかし桜」(ブローチ)
作品名「孔雀に牡丹」(ブローチ)
「(有)開工房」の安藤光平さん
|