東国東郡姫島村(ひめしまむら)
姫島車えび |
Vol.22 |
国東(くにさき)半島の突端に浮かぶ姫島は、東西6.6km、南北2.6kmの小さな島ですが、瀬戸内海国立公園に指定された風光明媚なところです。古くは漁業の他、塩田や牛の飼育など半農半漁の生活を行っていました。
昭和30年代後半から塩田跡地を利用して始められた車えび養殖は、大分県の代表的特産品として「姫島車えび」の名前で全国に知られています。昭和40年には村も一部出資して第三セクター方式で「姫島車えび養殖株式会社」が設立され、今では一企業体としては、規模、生産量ともに日本一を誇っています。毎年「姫島車えび祭り」が開催されており、今年も10月21日(日)に姫島車えび賞味会やキツネ踊り・アヤ踊り鑑賞会などが予定されています。
姫島は、なんといっても海の幸が自慢です。主に冬場に獲れる天然の車えびはもちろん、カレイ、タコ、鯛、サザエなど豊富な魚介類に恵まれています。特に「鯛めん」という姫島の近海で獲れる真鯛を、贅沢にもうどんのダシとして使った郷土料理が有名です(もちろん身も食べます)。地元では”タイメン”という言葉から、結婚式で両家が「対面」する、めでたい時に好んで食べるそうです。
坐来大分では姫島車えびを始めとして、国東地域で獲れる車えびを使用した南蛮鍋をご用意しております。
※姫島のキツネ踊り
歴史は古く、鎌倉時代に始まった念仏踊りが発展したものといわれています。8月の盆、島の最大の娯楽行事として開催される姫島の盆踊りで、一番有名なのがキツネ踊りです。傘に灯りをともした提灯を吊して、キツネのメイクを施した白装束の小学生の男の子たちが、かわいらしく踊ります。また、編笠姿の踊り手の合間を縫って短い竹の棒をあやつりながら、男達が勇ましく跳びはねるアヤ踊りや、穴のあいた銭をつけてタンバリンのようにし、それを打ちならしながら踊り手の合間を踊る銭太鼓踊りなどがあります。
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「春のおからは鯛の味、秋のおからは海老の味」。亡き母の口癖の一つでした。春、おから(卯花)を炊く時は鯛のだしを使いなさいということです。旬のない養殖鯛が多い現在と違い、昔の豊前海では鯛は春が旬でした。手頃な価格で鯛が手に入ると、刺身、塩焼き、煮付けになりましたが、その骨を捨てずにだしに使う。秋から冬にかけて旬を迎える車海老はてんぷら、フライ、姿焼きに。そしてその頭や皮をだしに使います。粗末なおからに骨や皮のだし。なんだか粗末な料理に聞こえますがとんでもない。旬の美味しさ、産地の美味しさは骨や皮も同じこと。鯛のほぐした身や車海老のぶつ切りが入ったおからは贅沢そのものです。とりわけ、赤い車海老の入った白いおからに青ねぎを散らしたおから炒りは、たかがおからとはいいがたい貫禄がありました。鯛、車海老はやっぱり海の王者です。最近の我家では家計的に少々縁遠くなりつつある料理ですが−。
総合監修 金丸佐佑子(平成19年8月発行)
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元気に泳ぐ姫島車えび
姫島車えび
姫島の豊富な海の幸
南蛮鍋仕立て 竹田サフラン 姫島車えび
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