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[食 Vol.53] 宇佐市長洲(うさしながす) / 海のパリ煎餅」

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宇佐市長洲(うさしながす)

海のパリ煎餅

Vol.53
 今回は大分県の北部に位置する宇佐市長洲(ながす)で新鮮な魚介類を使用して作られた「海のパリ煎餅」を紹介します。

 宇佐市長洲は、日本3大干潟の一つである豊前海(福岡県から大分県にかけて広がる周防灘の海域)の東部に位置しています。潮の干満の差が大きく河川からの植物プランクトンを豊富に含み、古くから漁業が盛んな港町です。

 取材にお伺いした有限会社イソベ水産 代表の礒辺弘治(いそべ こうじ)さんは、「天然の車エビが大漁に漁獲され、市場で値崩れしていた平成元年に会社を設立し、天然車エビをギフト商品化して直接販売を行うことで漁業者の生活を下支えしたい。」との思いから本格的に漁業に携わるようになったそうです。

  礒辺さんのお話では、「海のパリ煎餅は、先代の社長が市場に出荷出来ない魚介類を何か利用できないかと考えて始めました。現在はより美味しく食べていただけるよう豊後水道で獲れた大分県産の良質なイワシやエビなどを使用しています。これらを220度に熱したプレス機の鉄板の上で、3トンの圧力をかけます。こうすることで魚介類の水分が一瞬に蒸発するため、素材そのものの旨味が凝縮され、ふんわりとした食感に仕上がり、子供からお年寄りまで幅広い年代層で喜んで食べていただけます。」とのこと。

 最近では、地域の幼稚園などで、おにぎりの海苔の替わりとして「海のパリ煎餅」を使用したところ、子供たちに大喜びされているそうです。

 礒辺さんは、「海のパリ煎餅は、カルシウムたっぷりの美味しい、スナック感覚の煎餅です。育ち盛りのお子さんやお年寄りはもちろん、お酒のつまみにも最適です。今後、県内外のスーパーや百貨店などで取り扱っていただけるよう販売促進に力を入れます。是非、皆さまに食べていただきたい。」と笑顔でお話していただきました。

 また、礒辺さんは、地域の雇用を少しでも創出するため、国産素材にこだわった手づくりのお店「あかれんが」も手掛けており、「海のパリ煎餅」をはじめワッフル、焼き菓子なども製造販売していますので、お近くにお越しの際には是非立ち寄ってみてください。
http://www.akarengawaffle.jp/

 礒辺さんが、丹精込めて作り上げた「海のパリ煎餅」は、坐来大分及びインターネットで販売しています。是非、ご堪能ください。
 http://shop.zarai.jp/products/detail.php?product_id=9

■有限会社 イソベ水産
宇佐市大字長洲漁港埋立地JFおおいた長洲工場内
TEL:0978-38-6771
FAX:0978-38-1688


〈伝承料理研究家 金丸佐佑子さんのお話〉

今回、「イソベ水産」の礒辺弘治社長とゆっくりお話をする機会を得ました。同じ町内に住む私は彼がオムツをしている頃からの付合い。会社の成長はつぶさに見て来ましたが、余りにもご近所すぎ親しすぎたため彼の経営哲学等を今まで聞く機会がありませんでした。

 宇佐市、とりわけ私の住む長洲地区は豊かな食材に恵まれています。地元の古老の口癖は「米が駄目なら麦がある。麦が駄目なら魚がある。魚が駄目ならイカ、タコ、カニがある。それも駄目なら貝、海藻。それも駄目な時は畑の野菜と畑周りの豆を食べればよい。」と、食べ物に不自由しない豊かな環境に感謝して生活をしていましたが、それを支えている方々がいたということを今回は改めて実感。ごく当たり前と思っていたことを恥入るばかりでした。

 農業、漁業、加工業の人々に共通していることは、周りの人に安心、安全且つ美味しいものを食べてもらいたい。そしてその結果を地元の元気につながたいという熱い思いです。

 最近は食品業界も大きく変化して流通のグローバル化、地元人件費では賄いきれない価格破壊等、厳しいものがあります。ある方から伺ったお話の中に「これからの世の中は人の生き方に人が集まって来る。集まれば経済活動も大きくなる。」と。素人の私でもこの言葉の深さに思わず頷きました。最後は人柄だということです。

 礒辺社長をはじめ頑張っている皆さん、皆さんの生き方に沢山の方が集まって来るはずです。私もその一人、応援出来ることをとても誇りにそして嬉しく思っています。


総合監修 生活工房゛とうがらし˝金丸佐佑子(平成24年8月)

海のパリ煎餅

礒辺さん(右)と赤エビの漁師 荒木さん(左)

原料の赤エビ

プレス風景

「あかれんが」のスタッフ

宇佐みなと祭りは、長洲地区にある粟島神社の海を祀る祭りで、大漁旗をなびかせた漁船が港を巡る海上御神幸お供船パレードや神楽の奉納の他、鰻のつかみ取り大会等が行われます。
メインとなるのは花火大会では提灯舟が浮かぶ中で約3,000発の花火が打ち上げられ、長洲の港を赤く染め上げます。

石ひび(石干見)は、昭和30年代まで実際に長洲海岸で行われていた漁法です。干潟に石垣を半円形に築き、潮の干満差を利用して魚を獲るという漁法で、満ち潮の時に中に入った魚を、引き潮の際に石垣の中央に開けた「宿口(やどぐち)」の網に追い込んで獲るという原始的なものです。

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