今回は大分市の高田地区で栽培している「カンパリトマト」を紹介します。
取材にお伺いした「(有) 輪中の郷 池永農園」の代表取締役 池永勝己さんによると「カンパリトマトは、中玉トマトに分類されるオランダ産のフルーツトマトの一種で、トマト本来の甘味、酸味、コク、香りが絶妙なバランスで味わえる品種です。他の中玉トマトに比べ、ビタミンA、ビタミンC、リコピン、ミネラルが多く栄養価も高く、サラダはもちろん、熱を加えると更に甘みが増すため煮込み料理や炒め料理にも適しています。」とのことです。
池永農園では、地産地消をアピールできるインパクトのある野菜として平成17年から県内初のカンパリトマトの栽培に取り組み、現在は10棟のハウスで苗の植え付け時期をずらしながら周年で栽培・出荷しています。
いい土づくりから手間を惜しまず、堆肥や有機質肥料、もみ殻を使用した土壌改良を重ねているとのことです。
「平成17年に農園を有限会社化し、ふるさとへの想いから「(有)輪中の郷 池永農園」と名付けました。“輪中(わじゅう)”は川に囲まれた高田地区を意味し、この地域の方々に愛着のある言葉で、さとを「里」ではなく「郷」と表記することで高田地区全体を表現しています。これからも地域の方々に安全・安心で新鮮な野菜を提供していくことが私の夢。」と語る池永さん。
土耕栽培にとことんこだわり、野菜作りの地域ナンバーワンを目指して品質向上に取り組む池永さんが丹精込めて栽培した「カンパリトマト」を、是非、坐来大分でご堪能ください。
【坐来大分のカンパリトマトを使用したメニューは期間限定ですので、予めご了承願います。】
■(有) 輪中の郷 池永農園
代表取締役 池永 勝己 氏
〒870-0122
大分県大分市丸亀372-3
TEL/FAX 097-521-0902
〈伝承料理研究家 金丸 佐佑子さんのお話〉
〜トマト今昔〜
10代の半ばまで、私にとってトマトは苦手な食べ物の一つでした。トマト特有の青臭い匂い、果物や他の野菜とも異なる甘味は体質的に合わなかったのです。
ところがその私が友人の家でいただいたトマト料理で激変。私が名付けて「トマトカクテル」です。トマトを1cmのさいの目に切り、その上に砂糖と洋酒を振りかけたもの。オシャレなグラスに入ったこの食べ物は私の舌をとりこにしました。
洋酒はトマトの青臭さを消し、砂糖は甘味をはっきりさせます。田舎育ちの私にとってとてもハイカラな食べ物に思えたのです。現在も大好物の一つです。
平凡社刊の飲食事典によれば、日本に渡来したのは寛政年間(1790〜1800年)で、一般的に普及しはじめたのは大正時代とのこと。原産はペルー。
随分、昔から伝わっていたのですね。私がトマトに目覚めてから60年。この間のトマトの進化は著しいものがあります。特に最近の種類の多さはびっくりです。型も大中小、極小、色も紅、赤、オレンジ色、黄、グリーン等々。
先日、友人からトマトの宝石箱をいただきました。透明なケースの中に色とりどりのミニトマトが入っているのです。食べるのが勿体なくて数日間は冷蔵庫から出したり、入れたりを繰り返し眺めていました。加工技術も発達してジュースからドライまで。調理法も焼く、炒める、煮る等、和、洋、中華を問いません。
我が家の料理では、ご飯、みそ汁、おでん、糖漬、白和え。田舎の日常食にも進出してます。
私は孫の弁当作りをしています。女子高生の孫の弁当には毎回トマトを入れます。トマト大好き人間なのです。オシャレな弁当箱に色鮮やかなトマトが色どりして。特に好評なのが生食には粉末のドレッシングを添えて。マヨネーズを加えた白和えにはドライトマトで。ペルー発のトマトが我が家ではこの様に利用されているのです。
ペルーから世界へと。これからも世界中で品種改良や栽培技術も進歩、料理の工夫がますます広がることでしょう。トマトほど世界中の人に愛され広がっていく食材はないと思うのですが、五年先、十年先を想像するだけでもワクワクしてきます。
総合監修
生活工房とうがらし 金丸 佐佑子(平成29年1月)
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(有) 輪中の郷 池永農園 代表 池永勝己さん
別名、房採りトマト(Truss tomato)とも呼ばれています。
カンパリトマトとキュウリを半年毎に植え替え、周年栽培を行っています
30年以上、いい土づくりにこだわり、周年栽培をしても地力が落ちない工夫をしています
「輪中の郷」のカンパリトマトとキュウリ
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