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[食 Vol.63] 別府市 / 別府冷麺」

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別府市

別府冷麺

Vol.63
 今回は、別府市で独自の進化を遂げた「別府冷麺」を紹介します。

 別府市は、大分県の東海岸のほぼ中央に位置し、市内には、別府八湯と呼ばれる8つの温泉エリアが点在し、毎分8万7千リットルを超える温泉は、日本一の湧出量と源泉数を誇り古くから日本を代表する温泉地として賑わっています。また、県内各地の旬な食材(関あじ・関さば、豊後牛、ふぐ等)が食べられるなど、歴史と文化あふれる国際観光・温泉文化都市です。

 取材にお伺いした別府(B)級グルメ研究所 事務局長 門脇邦明(かどわきくにあき)さんのお話では、「別府冷麺の特徴は、小麦粉、そば粉、でんぷんを基本とした自家製麺で、スープは魚介をベースとした和風にアレンジされています。別府市以外で食べられる場所がほとんどなく、まさに別府特有の料理です。
 その歴史は、戦後、中国東北部(旧満州)から引き上げてきた料理人が伝えたのが始まりと言われ、現在、別府冷麺を提供する店は、市内に60から70店舗あります。これらの店は冷麺専門店と焼肉屋に大別され、冷麺専門店の別府冷麺は、もちもちした太めの麺で、キャベツのキムチが添えられています。一方、焼肉屋系の別府冷麺は、つるつるした中細麺で、白菜キムチが添えられています。その他、ラーメン屋や居酒屋など幅広い店でも、別府冷麺がメニューに加えられるなど、別府市民にこよなく愛されている料理ですよ。」とのこと。

 門脇事務局長は、平成20年度の大分国体を契機に別府市を売り込むために設立された「別府「食」観光推進プロジェクト」の立ち上げから携わり、別府発祥の「とり天」、「別府冷麺」など別府の「食」をPRしています。取組状況について伺うと、「まず、皆さんに周知するためのマップ及びホームページを作成することとしたのですが、どのお店で取り扱っているのか、味はどうなのか、ルーツはどこからかなどを調査する必要がありました。このため、極秘調査チーム「とり天Bメン」、「別府冷麺団」を編成し各店舗を隈無く調査しました。
 平成20年9月に「別府とり天グルメマップ」、平成22年3月に「冷麺マップ」を完成させ、市内の観光案内所等で無料配布しています。また、話題性を創出するため、キャラクターの着ぐるみを作成し、全国から名前を公募しました。とり天は「さくっと十四郎」、別府冷麺は「麺田チュルみ」とそれぞれ命名し、マスコミ取材や催事等でのPR活動を行っています。今では、マップを片手に市内を観光している方を多く見かけられるようになっています。
 さらに、平成22年から始めた大手コンビニチェーン店と連携した別府冷麺団監修の「別府冷麺」は、山口、九州限定ではあるもののローカル麺としては一番の売上を誇り、リピート率が高く、昨年は16万食を売り上げるベストセラーとなり、別府市のPRに繋がっています。
 是非、別府市へお越しいただき、昼間は温泉、夜はとり天を含む大分の旬な食、そして最後の締めに「別府冷麺」を食べ、別府市を堪能していただきたいですね。」と力強くお話いただきました。

■別府(B)級グルメ研究所
 別府市北浜2丁目10-19
   グランメールビル4F
   TEL:090-7532-6898


〈伝承料理研究家 金丸佐佑子さんのお話〉

「おんせん県おおいた」讃歌

 今、私の手元に八十年前の別府温泉の写真があります。セピア色をしていたこの写真は両親の結婚式と新婚旅行の記念写真です。当時の一庶民の生活では料亭の結婚式も新婚旅行も珍しく、東京で学生生活を送った父の強い意向だったと聞いています。ハイカラだったと自慢話を聞く度に、私は「なんだ別府温泉じゃん」と思ったものです。当時の別府温泉や天ヶ瀬温泉は花形だったとか。でも別府温泉は私から見たらお隣さんでしかありません。熱海とか草津とか遠い温泉ならともかく。ちなみに伯父は天ヶ瀬だったそうです。

 昨年、大分県は「おんせん県おおいた」のCMを打ちました。ほのぼのとした見ている者が幸せな気分になる楽しいCMでした。周囲の反響もなかなか良かったし、私も県外の知人に大いに宣伝しました。湧出量も源泉数も日本一ですから当たり前のこと、更にその周辺の料理だって、食材だって、景色だって素晴らしいのです。今回のCMによって他県の人に宣伝するのみならず、大分県人自身も再認識したのではないでしょうか。

 我が家から車で五分から三十分も走ると幾つもの温泉に行けます。有名温泉から、知る人ぞ知る温泉、そして名もない温泉等々に行くことが出来ます。全国の人気投票でベスト10の常連の由布院温泉、別府温泉にも簡単に行けるのです。豊の国の豊かなご馳走もあれば、名もない料理が名もない湯治宿で振る舞われることもあり、街中を散策すると古い伝統料理から新しい料理まであります。非日常の温泉と非日常の料理、日常の温泉と日常の料理、そしてどちらにも共通しているのは地域の人情とおせったい(応接=おもてなし)の心です。

 私たちは余りにも温泉が身近にあるため、その素晴らしさを忘れていました。東京オリンピック招致で「おもてなし」が話題になりましたが、私たち大分県人の中には昔から「おせったい」の心があります。CMはよいチャンスです。大分を大いに宣伝しましょう。「ふるさと納税」や「カボス大使」のように大きなことは出来ないかもしれませんが、「おんせん県おおいた」のことを語ることは出来ます。「おおいたを応援する基金」なんてものがあるといいなと思います。出来れば「トリニータ」の応援だけでなく、いろいろなものに利用できる基金に貧者の一灯をと思うのですが。
 とにもかくにも大分県大好きです。

総合監修 生活工房゛とうがらし˝金丸佐佑子(平成26年3月)

別府冷麺(六盛)

門脇邦明 事務局長 

とり天Bメンキャラクター「さくっと十四郎」くんと
別府冷麺団キャラクター「麺田チュルみ」ちゃん

大手コンビニチェーン店と別府冷麺の商品開発を行った、別府溝部学園短期大学食物栄養学科の学生さんと別府冷麺団

大手コンビニチェーン店にて期間限定で販売される
「別府冷麺」

別府の湯けむり

市営温泉 別府海浜砂湯

別府市を一望できる露天風呂

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